木場の旦那
Mittwoch, 6. März 2013
木場の旦那は今夜来るはずだとお千代が云ったので、半七は幸次郎とほかに二人の子分をよびあつめて、おとわの空巣に網を張っていると、果たして夕六ツ過ぎに、その旦那という男が三人連れでたずねて来た。 連れの二人はすぐに押えられたが、旦那という四十前後の男は匕首をぬいて激しく抵抗した。子分ふたりは薄手を負って、あやうく彼を取り逃がそうとしたが、とうとう半七と幸次郎に追いつめられて、泥田のなかで組み伏せられた。 彼等はすべて海賊の一類であった。 おとわの旦那は喜兵衛というもので、表向きは木場の材木問屋の番頭と称しているが、実は深川の八幡前に巣を組んでいる海賊であった。ほかにも六蔵、重吉、紋次、鉄蔵という同類があって、うわべは堅気の町人のように見せかけながら、手下の船頭どもを使って品川や佃の沖のかかり船をあらしていた。時には上総房州の沖まで乗り出して、渡海の船を襲うこともあった。おとわは木更津の茶屋女のあがりで、喜兵衛の商売を知っていながら其の囲い者になっていたのである。ネットビジネス 副業 副業のハウツー 120記事 | nanapi [ナナピ]